2016/09/07
緊張と緩和
親父があと一週間かもしれない。
そう聞いて慌てて姫路に戻った。
帰るなり「お前は延命処置についてどう思う?」と聞かれた。
どう思うって。。。
そりゃ長生きはしてもらいたい。どんな形でもとも思う。
でも延命処置をしても良くなる事はない。むしろ苦しむ方もいると聞く、さらに親父が病気になる前「わしがよぼよぼになったら、いっそのことやっちまって!!」と笑いながら話してたのも頭によぎった。
それにしても家族というのはこんな過酷な事を決めないといけないのか。
俺たちが親父の命を握らされている気がした。
その日は一日朝から晩まで看病をしていた。
途中、看護師さんが自然に僕を外に呼び出し尋ねてきた。
「延命処置の件決められましたか??」
ドキンとした。
「あの、、、まだ。。。兄貴と母ともう少しだけ相談させて下させてください。」と答えた。本当は僕の中で決まってはいたのだが。
そんな事を知らない親父の看病に戻る。
ただ足をさすったり、窓を開けたり、電気を付けたり消したり、親父が何か話したそうなら少しだけ話したり。
しばらくすると別の若い看護師さんが入ってきて、親父の血圧などを測りながら、真っ暗な部屋の中で「あのーーー、こんな時になんなのですが、、、」と言ってきた。
おいおい、やめてくれ。
親父も聞いているんだぞ!こんな時に延命処置の話なんて。。。
そもそも親父は自分の命がそこまで短いとは思っていないのに。。。
そこまで考えていた時に次の言葉で心が跳ね上がった。
「あのーーー、こんな時になんなのですが、、、バンドやってますか?」
??????
僕は一瞬何を言われたのか分からなくて止まってしまった。
生きるか死ぬかの話の時に、っていうかラーメン好き?って聞かれるくらい頭が追いつかなかった。
僕が止まっていると。
「あのーーー、ニュートラルの方ですか?」
そっちかーーーーーーい!!!
とめっちゃでかい声が出そうになった。
僕は心から安堵し、「あぁ、そうです!そうです!vocalです」と言わなくてもいい情報まで与え、なんなら頼まれてないのにサインしましょうか?くらいの浮かれ具合になった。
看護師さんからしたら「この人、顔バレした事がこんなに嬉しかったのか」と思っただろうなぁと今になって恥ずかしく思う。
そうじゃないのだ。
延命処置の話じゃなかった事と、親父へのベクトルが急に僕に向けられた驚きだっただけだ。
でも親父の後を継がずにやりたい事をやってきた僕にとって、ほんの少しだけ、本当に少しだけ親父に親孝行をしたような気がした。
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