2019/03/20
9-20
宝山くんと同級生がいた。
彼はなぜだか急に奇声や大声を出したりするのであだ名が「キチ○イ」というものだった。
子供とは残酷だ。
しかし宝山くんはその言葉の意味も知った上で、それをまるで「knight」の称号のように誇らしく、さらに奇声をあげ続けるのだった。
そんな宝山くんのもう一つのあだ名が「おおかみ少年」だった。
そう、宝山くんはどでかいうそをつくのだ。
スケールが違うのだ。
小学四年生の時に「スーパーマリオ」が発売された。
空前の大ヒット。
任天堂絶好調。
子供ら狂喜乱舞。
漏れることなく僕もポテチで汚れた手でコントローラーを握りしめてクッパをしばいていた。
さまざまな裏技もやり終え、ぼちぼち飽きだした頃。
宝山くんが裏技で9−20面に行った。と言いだした。
ーパーマリオは全部で9面。それが各面が4部構成で成り立っている。
1-1、1-2、1-3、1-4、つまり9−20を発見したとしたら、残り僕らの知らない9−5、9−6と、16面も楽しめるのだ!
クフ王の墓を見つけたくらいの大発見なのだ。
当時から疑い深い私は宝山くんを刑事のようなするどい眼光で真相を聞き出そうとした。
しかしホシははぐらかしの名人だ。9−20面まで行く具体的なやり方を教えてはくれない。
まわりのみんなも宝山くんが別名「おおかみ少年」と呼ばれているのを知ってはいるものの、この案件に関しては真実であってくれと言う願いが疑いを勝ってしまっていた。
結果、僕らは水曜日の放課後に宝山くんの家で実践してもらうことになった。
僕ら数人はメモ用紙とペンを片手に、宝山くんの家のチャイムを鳴らした。
出ない。
全然でない。
行方をくらましたか。
その時、宝山くんの家の2階の窓が開き、彼が顔をのぞかせた。
「きたでーーー!9−20やろう!」僕らは色めき立ってジュリエットを眺めるようにうっとりした顔で彼を見上げた。
すると「うちの家、4人までしか家に上げたらあかんねん。今日はもう4人来てるから帰ってくれ」と、当時誰の家にもあった家人数制限ルールをブチかましてきた。
どう見ても2階に彼以外いる気配はないが、このルールを出されると、もはや宝山くんだけの問題ではなく、宝山家 versus 我らとなるので太刀打ちできない。
結果、僕らは今回も騙されたことに気がつき落胆しながら家に帰った。
すると兄貴に9−20なんてあるわけないやろ!と笑われ、さらに傷ついた。
昭和という時代のオレンジの頃。
僕らは懸命に生きていた。
彼はなぜだか急に奇声や大声を出したりするのであだ名が「キチ○イ」というものだった。
子供とは残酷だ。
しかし宝山くんはその言葉の意味も知った上で、それをまるで「knight」の称号のように誇らしく、さらに奇声をあげ続けるのだった。
そんな宝山くんのもう一つのあだ名が「おおかみ少年」だった。
そう、宝山くんはどでかいうそをつくのだ。
スケールが違うのだ。
小学四年生の時に「スーパーマリオ」が発売された。
空前の大ヒット。
任天堂絶好調。
子供ら狂喜乱舞。
漏れることなく僕もポテチで汚れた手でコントローラーを握りしめてクッパをしばいていた。
さまざまな裏技もやり終え、ぼちぼち飽きだした頃。
宝山くんが裏技で9−20面に行った。と言いだした。
ーパーマリオは全部で9面。それが各面が4部構成で成り立っている。
1-1、1-2、1-3、1-4、つまり9−20を発見したとしたら、残り僕らの知らない9−5、9−6と、16面も楽しめるのだ!
クフ王の墓を見つけたくらいの大発見なのだ。
当時から疑い深い私は宝山くんを刑事のようなするどい眼光で真相を聞き出そうとした。
しかしホシははぐらかしの名人だ。9−20面まで行く具体的なやり方を教えてはくれない。
まわりのみんなも宝山くんが別名「おおかみ少年」と呼ばれているのを知ってはいるものの、この案件に関しては真実であってくれと言う願いが疑いを勝ってしまっていた。
結果、僕らは水曜日の放課後に宝山くんの家で実践してもらうことになった。
僕ら数人はメモ用紙とペンを片手に、宝山くんの家のチャイムを鳴らした。
出ない。
全然でない。
行方をくらましたか。
その時、宝山くんの家の2階の窓が開き、彼が顔をのぞかせた。
「きたでーーー!9−20やろう!」僕らは色めき立ってジュリエットを眺めるようにうっとりした顔で彼を見上げた。
すると「うちの家、4人までしか家に上げたらあかんねん。今日はもう4人来てるから帰ってくれ」と、当時誰の家にもあった家人数制限ルールをブチかましてきた。
どう見ても2階に彼以外いる気配はないが、このルールを出されると、もはや宝山くんだけの問題ではなく、宝山家 versus 我らとなるので太刀打ちできない。
結果、僕らは今回も騙されたことに気がつき落胆しながら家に帰った。
すると兄貴に9−20なんてあるわけないやろ!と笑われ、さらに傷ついた。
昭和という時代のオレンジの頃。
僕らは懸命に生きていた。
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