2012/08/03
NEW KINGにて「ヒョロ高い虎ちゃん」
パチンコ屋NEW KING。
しみったれた小さなパチンコ屋。
そこにはいつも同じ客と入れ替わりのないいつも同じ店員がいる。
僕らが向かうのは地下のスロットコーナー。
オーナのようなそのパチンコ屋の主のおばちゃんと虎ちゃん(仮名)と呼ばれる24,5歳くらいの兄ちゃんとパートのおばちゃん。地下にいる店員はこの3名のみ。
今日は虎ちゃんの話。
といっても虎ちゃんに関しては何も語る事がない。
ただ虎ちゃんと言う人がいたと言うだけである。
虎ちゃんはリーゼントみたいな頭をしていた。
でも不良と言うよりは学校に行ってなかった雰囲気がした。
でも昔シンナー吸ってたんだろうなぁというねちっこい話し方をする人だった。
とはいえ口数は少ないが。
虎ちゃんは僕が来ると「お!プロが来た!!打ち方が自分変わってるもんな。一発で分かるわ!うちはプロお断りやで!」とからかう。僕は左手で打っていたので目を引いたようだ。と言いたいが、客は僕らをあわしても全部で10人もいなかったのだが。
虎ちゃんは平成の時代に、住み込みで働いていたらしい。
うわさではNEW KINGの小さな建物の中に小部屋みたいなのがあって、そこに住んでいたらしい。
確かにトイレには洗濯機もあった。
虎ちゃんは女性の影がなかった。
それどころか虎ちゃんは姫路の路上で見かける事は一回もなかった。
住み込みで働いていた虎ちゃんの事情を今になってはもう知る由もない。
虎ちゃんはどっから来て、NEW KINGがなくなった今どこで何をしているんだろうか?
虎ちゃんはNEW KINGの閉館の話をどう受け止めたのだろうか?
そもそも、日曜日でも大学生のクソガキである僕らと後は8人くらいの常連しかいないあの店に未来を見出していたのだろうか?
そして虎ちゃんは姫路で沢山張り出された僕らのデビューシングルのポスターを見て、僕だと気付いたのだろうか?
僕が歌っている事を知っているのだろうか?
今日まで出たテレビで僕を見てくれただろうか?
いや、僕を見て、あの頃の年齢を偽って来ていたクソガキの1人だと、あなたがプロだとからかっていたあの時の少年だと気付くだろうか。
人生には確認のしようのない問題とは言えないちいさな胸のしこりが残るものだ。
僕には虎ちゃんの今をどうやっても確かめられないけど、虎ちゃんに今の僕を確かめさせる事は出来る。
僕はもうパチンコを卒業して歌っている。
なぜかその姿を今とても虎ちゃんに見せたい。
夢を持ったあれからの僕を。
そして僕は僕で、虎ちゃんは今も元気にどっかのパチンコ屋で働いている事を願う。
住み込みではなく奥さんと子供達と一緒に暮らしながら。
Category
■ 曲解説 (7)
Recent Diary
Recent Photo

2017/06/19 :: アコースティックCD
!!$photo1!!
!!$photo1!!

2016/04/13 :: ありがとう親父
!!$photo1!!
!!$photo1!!

2016/03/19 :: 千葉LOOKの楽屋にて
!!$photo1!!
!!$photo1!!

2014/12/25 :: ソロワンマンを終えて
!!$photo1!!
!!$photo1!!

2014/10/27 :: SONYのMDR-CD900ST
!!$photo1!!
!!$photo1!!

2013/02/14 :: 大阪青春物語「女優魂」
!!$photo1!!
!!$photo1!!

2013/02/11 :: 大阪青春物語
!!$photo2!!
!!$photo2!!

2012/07/02 :: 侠気には侠気を!だろ?

2012/02/17 :: 路上ライブは新宿から渋谷に変更です。
!!$photo1!!
!!$photo1!!

2011/12/06 :: Gibsonハミングバード
!!$photo1!!!!$photo2!!
!!$photo1!!!!$photo2!!
all photo
